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図説 世界の水中遺跡

    考古学に興味があり、「図説 世界の水中遺跡」を読んでみました。世界中の水中遺跡が紹介されており、まさに「世界の」水中遺跡を概観するにはもってこいの本かと思います。地中海からカリブ海、はお約束かと思いますが、琵琶湖やインドネシアの湖の遺跡など、知らなかった地域も多く興味深いです。

    その一方で、数多くの遺跡が紹介されているために、それぞれの遺跡に関する記述や写真は限られており、それぞれの遺跡に関して知ろうとするには無理があります。また、文字や写真が小さく、さらに写真に小さな文字が重ねられていたりして読みにくいです。デザイン的に工夫したのだろうと思いますが、大判の写真集くらいのサイズならともかく、この本のサイズ(それでも通常の単行本よりは大きい)にこのデザインは無理があるようです。

    さらに、本書は日本人二人が「編著」となっていますが、記事には直訳的な文章が多く、少なくとも一部の文は、編著者が直接書いたものではなく、何かから翻訳したものであろうことを伺わせます。それが悪いわけではないですが、翻訳のレベル、文章のレベルは高くありません。

    本の値段は税抜き2500円ですが、内容と比べたら安いと思います。ただ、本当に好きな人や図書館しかいずれにしろ買わない本でしょうから、判型を大きくして紙や印刷のグレードを上げ、文章の校正をプロに委託して、もっと読みやすい本に仕上げてほしかったです。