「支援のフィールドワーク」という本を読み終わりました。編著者の一人、小國和子さんから贈っていただいた本です。
まず戸惑いから。この本の「フィールドワーク」は、どちらかと言うとアカデミズムの中でのフィールドワークを意味しており、「開発フィールドワーカー」という本を最初から開発援助のフィールドワークとして書いた僕にはちょっと違和感がありました。
次に驚き。本には10のケーススタディが登場し、その内の6編が海外です。驚いたのは、それぞれの人たちのフィールド(地理的な場所も研究分野も)の多様性。え!こんなことしている日本人がいたの!というレベルでも単純に驚きました。世界は広い。と言うことは、まだまだ知見を広げる余地が相当大きいということ。
次に共感。一番共感できたのは、分野が近い小國さんのケースでした。
援助の対象となる人と援助する側との関係性の問いかけ。「住民ニーズ」と称するものに頼ることの危険性。そして、案件が始まってから手探りを始めるアプローチへの移行。
ここでは「苦し紛れ」と書いてありますが、僕自身がもっとも合理的と考えるアプローチに非常に近い考え方です。できればアカデミズムに染まらない、読み物的な文体でもっと詳しく書いてほしいところです。
10のケーススタディで共感するところは、読者によって異なるだろうと思いますが、一読を勧められる本です。