海のラクダ―木造帆船ダウ同乗記

海のラクダ―木造帆船ダウ同乗記

門田 修

海のラクダ―木造帆船ダウ同乗記」は現在中公文庫から出ているようですが、筆者が買った当時は中公新書の方から出ていたと記憶しています。

「海のラクダ」というのは、インド洋を行き来するアラブの帆船、ダウのことです。あまり知られてこなかったことですが、ポルトガルのパスコダガマが喜望峰を廻ってインド洋に入ってきたとき、そこは西欧世界よりもはるかに早くから大型船が行き交っている世界でした。現在のタンザニアに属するザンジバル島などには当時既に大きな港があり、アラブ世界とアフリカとの交易が盛んに行われていました。遠く中国からの船が入港していた記録もあるようです。

そうした交易に使われていたのがダウと呼ばれる帆船です。アラブはラクダに乗って砂漠を旅しているばかりではなく、海の民でもあった、というのがこの本のネーミングの意図でしょう。

この本の著者は東アフリカから季節風を待って北上するダウ船に乗り込むという稀有のチャンスをものにします。これはその時の記録です。ダウ船の世界は、どうも近代的な海の法律とは別のルールが支配している世界のようで、筆者がいたころのケニアのモンバサでは、大型ダウ船が入港しているエリアには、外国人観光客の立ち入りが認められていませんでした。

この本はそれ以前に読んだものでしたが、モンバサ港の外からダウ船の傾いたマストを眺め、一番に思い出したのがこの本のことでした。