ロバート チェンバース
明石書店 1995/11
本書は開発関係者の must read とされるものです。原書は1983年といささか発行年次は古いものの、この本が開発関係者に与えた影響の大きさは計り知れず、また今読み返しても新鮮さを失っていません。古典、と言うよりはスタンダード・ナンバーと化したのではないでしょうか。
Chambers には著作が数多くありますが、本書がやはり原点のように思われます。無論1983年の時点では現在のような Participatory Rural Appraisal の教祖的性格はまだありません。しかし彼の主張は常に一貫して、「我々開発に係る者の側にこそ問題がある」「地域住民の能力を信じて彼らに任せる」といった点にあります。理解者が相当増えたとは言え、今になっても同じ主張を繰り返さなければならない世界の現状は、結構情けない、と思いますう。
本書は日本語訳が出版されました。やっと1995年になってこんなに重要な書が翻訳される、という日本の現状も情けないです。1983年と1995年と言うこのギャップが、日本とそれ以外の援助主要国との隔たりを如実に表しているように思われます。